今回は長編野球漫画「H2」です。甲子園を目指す高校野球という、それだけでドラマティックな舞台に恋愛要素も絡んでくる王道の青春漫画です。
漫画DATE
連載期間 | 1992~1999 |
作者 | あだち充 |
掲載誌 | 週刊少年サンデー |
出版社 | 小学館 |
巻数 | 全34巻、完全版全17巻 |
あらすじ
主人公の国見比呂は天才的なピッチャーで中学生時代には無敵のチームのエースとして活躍していましたが、高校に入学前に肘に異常があると言われ、野球を諦めるために野球部の無い高校に入学します。が、診察した医師が無免許医師だった事が分かり再診察すると、全くの異常なし。という事で再び野球を始める事にして、野球部を作る所から甲子園を目指します。
一方、中学校時代のチームメイトであり天才バッターの橘英雄は一年生から野球の名門校に進学して、その名前を全国に轟かせます。英雄には雨宮ひかり、という比呂の幼馴染である彼女がいます。
野球に詳しくても、詳しくなくても、タップリ楽しめます!
野球が大好きだという人も、そうではない人も、どちらでも十分楽しめる漫画です。まず野球好きの方なら、甲子園を舞台に繰り広げられるライバル達との数々の名勝負、ちょっと野球詳しくないという方には、主人公達がみせる切ない恋愛模様、どちらも好きだ、という人には大好物になるであろう作品です。
その中から私が特に好きな場面を3つご紹介していきたいと思います!
「ひかりの誕生日だったのに・・・」
比呂がエースを務める千川高校が夏の甲子園にやってきます。あと一つ勝利してコマを進めれば、英雄のいる明和第一高校との試合になるという大事な一戦。相手は難敵の伊波商業。この試合で足を怪我してしまった比呂は土壇場で暴投してしまい敗れてしまいます。この日は幼馴染の雨宮ひかりの誕生日で、小さい頃から、ひかりの誕生日の日の試合では負けたことが無く、勝利のボールをプレゼントとして渡していた比呂。
ひかりは試合に負けたら比呂から「好きなものを何でも買ってやる。」と、ずっと言われてましたが毎年毎年ボールばっかりが増えていました。
そんな比呂が始めて勝利のボールをひかりに渡す事が出来ずに、ひかりの前で涙し、ひかりは比呂を抱きしめます。
比呂は成長が遅く、ひかりの事をいい女だなと思った頃には、ひかりは英雄と付き合っていました。英雄と親友でもある比呂は、2人のことを心から応援していますし、そんな2人が思わず感情をぶつけ合ったこの場面はキュンキュンしました笑
「橘英雄」という男
比呂の親友でもあり、ライバルでもある英雄、比呂の紹介でひかりと付き合うことにもなります。そんな橘英雄という男を象徴するような話だなと思ったのがこちらです。練習中に打球が顔面を直撃してしまい、一定期間視力が急に落ちてバッティングにも影響が出ます。学校の練習にもしばらく顔を出さなかった英雄。それは自分に打球を当ててしまったチームメートが、自分のバッティングの様子がおかしい事に気がつくと責任を背負い込んでしまうと考えたからです。
一人バッティングセンターに通い、バッティングの調整をして完全に状態が戻った後、練習に復帰し元気な姿をみせると共に、はじめて彼女であるひかりにも、一連の事を話します。
ひかりが「強いな、ヒデちゃんは。」と、どこか淋しげに言っていたのが、印象的な場面でした。そう常に強く完璧な男が橘英雄なんです。(弱点はお酒で、ニオイを嗅ぐだけでもアウトで間違って口にしてしまった時には、普段はみせない一面や、本心をポロっと漏らす事がありました。)
「本当にいないの?・・・おばさん。」
ひかりの母親が突然亡くなってしまいます。小さい頃から接してきた比呂にとってもとても悲しい出来事です。ひかりの母親はもともと男の子も欲しかったのですが、比呂が遊びに来るようになってからは一言もそんな事を言わなくなったとあるので、本当に自分の家の子くらいに思って可愛がっていたのでしょう。
比呂が家にした落書きを「絶対将来凄い選手になるから、記念になる。」と言い、掃除の時もそこだけはそのままにしてニコニコしながら眺めているような人でした。
そんな話を聞き比呂は、ひかりの父親にもっと有名になることを誓います。
「H2」名場面を振り返ってみて
比呂とひかりには共通の時間が多すぎて、英雄には入っていけない部分もたくさんあります。きっと英雄も、もどかしい思いをしているだろうけど、そんな姿は決して見せません。そして比呂の前にも同じ高校の野球部のマネージャーとなる古賀春華という、比呂の事を好きになる女の子が出来ます。またこの子も、いい女の子なんですよね笑
ということで、この4人を中心とした恋の行方も見逃せない見所の作品です!